発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.29 「属性の理解と属人の理解」

ADHDとASDの違いは、行動の源泉にあります。

誤解を恐れずに私見を述べれば、ADHDは「冒険」を志向し、ASDは「求道」を志向する傾向があると思います。

 

「冒険」はADHDの特徴が多動であることから、何となく想像できるでしょう。

ADHDの衝動性を 「“熱狂的状況“を作り出すこと」と評した人もいます。

 

それに対して、「求道」という言葉は、あまりピンと来ないかもしれませんが、ASDの特徴の「融通がきかない」・「頑固」という部分を「信念」に置き換えてみれば理解しやすいかも知れません。

ASDの人は「アイデンティティ拡散」といって、自分は何者かという悩みを持ちやすいと言われています。

だからと言うわけではありませんが、自分自身が対象物に入り込み、対象物になりきってしまう才能があるような気がします。

 

そうした観点で言うと、両者には、明確な違いがあるとも言えるのですが、実際はそう簡単にカテゴライズできるものではありません。

というのも、下の図の重なった部分を見ていただくと分かるように、実はADHDとASDは様々な共通する特徴があり、専門家でも見極めが難しいものだからです。

 

 

例えば、ミスが多いという特性に関していえば、表面的な「現象」は同じですが、うっかり間違えたのか、上司の不明確な指示を確認できずに勘違いしてやったのとは、まるで中身が違います。

ASDのこだわりの強さとADHD切り替えの難しさは、混同されやすいですし、空気が読めないのは、ASDを語るときに外せない特性の一つですが、ADHDでも自分の世界に気を取られていたばかりに、空気が読めないと見なされてしまうこともあることは、見極めの困難さを顕著に表しています。

 

ちなみに、普段、筆者の周りにいる殆どの発達障害の人たちは、ADHDとASDが併存する診断を受けています。

実際には、図の重ならない部分があるので、ADHD優位なのか、ASD優位なのかは何となく分かるのですが、特定するには、さまざまな判断基準をもとに、医者や専門家が複合的に判断しないと間違った診断に繋がってしまう恐れがあり、軽率な判断は慎まなければなりません。

 

また、筆者は、発達障害を種類別にカテゴリー分けすることには、あまり意味がないと思っています。

それよりも具体的に何に困っているのか、どのように困っているのか、現象面に注目して支援の仕方を考え、困難の度合いを軽減していくことが遙かに重要です。

 

「ADHD(ASD)だから、どうしようか?」というよりは、「Aさんは、こういうケースに直面すると、こういう困難が生じるから、こうしよう」と意識を変え、今できるアクションを実行することが、支援者にも、(企業)担当者にも、いの一番に望まれることだと思います。

 

 

 

※ 今回のコラムは、書籍「これからの発達障害者「雇用」: 専門キャリアカウンセラーが教える」からこぼれた、貴重なお話となります。ぜひ、本編もお楽しみください!

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