発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.17 「忖度と想像力」

「森友学園問題」以降、一般的に馴染のなかった『忖度』という言葉がすっかりポピュラーになりましたが、もともと忖度は誰もが無意識に行っていることです。

 

「夜遅くに電話するのは、相手に迷惑かも知れないから止めておく」とか、商店等で「雨の日のお買い物袋にビニールのカバーを付ける」などは普通にしている事ですし、気を利かせる、察するといった文化はむしろ美徳であるとも言えます。

キャリアカウンセラーである私は、相手の心を想像すること(共感)はカウンセリングの基本なので、その意味では日常的に「忖度」していると言えるかも知れません。

 

ところで、発達障がい、特に自閉症スペクトラムの方の特性の一つとして「想像力の欠如」ということがありますが、正直どうなんだろうと疑問に思うことが多々あります。

というのも、彼らと話していると、むしろ「想像力」は豊かな人が多い。

 

しかし、問題なのは、発達障がいの方の「想像力」が彼らの主観に基づいていることが多いことだと思います。

 

そして、その主観がたびたび仕事や恋愛で発動してしまう。

上司が “困ったことが有ったら、いつでも聞いてください” と言ったって、その「いつでも」を「どんな時でも」と思うのは、「想像性の欠如」というよりは、彼らの捉えている前提が主観で成り立っているからではないでしょうか?

 

以前、アスペルガーの方の場合、「自分以外には家族と彼女と他人しかいない」という文章を読んだことがあるのですが、<異性から受けた優しさ⇒相手の好意⇒自分に向けた愛情の表現>という主観の連鎖が、他人の間柄から、中間を抜かして一足飛びに彼女になってしまうと言います。

まあ、前提を形成する際の想像力が足りないと言えば、そうなのでしょうが・・・

 

となれば、想像力を補うのは、おそらくコミュニケーションによる情報の蓄積しかないと思います。

コミュニケーションの経験を積むのは、思うほど楽ではないでしょうが、発達障がいの方には、そうして課題を乗り越える勇気とポテンシャルは十分あるはずです。

 

話が忖度に戻りますが、私は忖度をビジネスや政治の場には持ち込むべきでないと考えています。

仕事でやるべきなのは、本来やるべき内容であり、上司の意向に沿うことが正しいとは限らないし、そういう「保身」は、組織全体や社会全体への貢献するために、本来どうあるべきかということが置き去りにされるからです。

ちなみにこれは私の主観です。お聴き逃しいただければ幸いです。

 

 

※ 今回のコラムは、書籍「これからの発達障害者「雇用」: 専門キャリアカウンセラーが教える」からこぼれた、貴重なお話となります。ぜひ、本編もお楽しみください!

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