発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.15 「働き方」

最近、久しぶりに会った友だち(発達障がいの方)とゆっくり話す機会がありました。

 

彼は、大学を卒業後、ある会社の研究開発職として年収700万円も稼いでいたのですが、多忙で休みが取れないことと、研究開発活動を経済的に結実させることのみが目的で、真にやりたいこととのギャップを感じる中で、精神のバランスが取れなくなって退職しました。

私と出会ったのは、それから暫く経って、調子が上向きになってからのことで、キャリアカウンセラーという立場からいろいろと話したのですが、以前の仕事に対してのプライドが邪魔をして結果を残すことができませんでした。

それ以外にも、多くのことがあったのですが、個人情報のこともあり、ここでは割愛します。

 

そして、紆余曲折があり、最終的に彼が選んだのは宅配便の業務委託という仕事でした。

業務委託ですから、任された仕事さえこなせば、始業時間も終業時間も自分で決められるし、配達のルートも自分で選べる、最初こそ若干のトラブルが有ったものの、今は月収50万円に近い収入があるといいます。

収入もそうですが、何よりも個人事業主としての自信と満足感に満ちた様子が感じられて、とても嬉しくなりました。

 

ただし、そこで彼から出て来た言葉は、「人間関係を大切にしている」という意外なものでした。

 

というのは、仲間(同業者)に急用ができたり、何らかの理由で回りきれなくなった場合に、その分をフォローしてあげることが信頼を生み、次の仕事を回してもらえることに繋がるというのです。

彼は元から「コミュ障」ではないし、相手の気持ちもそれなりに読めますが、しかし、対人関係は苦手で、だから今のような仕事にはまったのだともいえます。

そんな彼が苦労の末につかんだ答えが「人間関係の大切さ」だったことに、新鮮な驚きを禁じ得ませんでした。

 

私は、働き方は人それぞれだと思います。

 

「就社」して、フルタイム、あるいはパートタイムで働く以外にフリーランスの仕事も有りますし、IoTが今以上に進めば、テレワークや在宅勤務の仕事は、シングルタスクが得意な発達障がい者に有利だと思います。

長い時間働くことが難しい人には、今少しずつ進められている「ショートタイムワーク」と障害者年金等の社会資源を組み合わせて、また、それさえも難しく人には、それこそ生活保護等の制度をフルに活用して生きればいい。

恥ずかしいと思ったり、自分だけがなどという遠慮などまったく不要です。

本来、そのための制度なのですから。

 

ただし、今回の彼の言葉ではありませんが、どんな状況でも「人間関係」はついて回ります。

だから、コミュ障の人には、その人なりのやり方で、コミュニケーションの経験値を増やし、繋がる先を見つけておくべきでしょう(コミュニケーションは必ずしも言葉でとは限りません)。

 

その意味では、昨今話題の「働き方改革」に障がい者の視点がまったくないことに強い不満を感じます。

 

 

※ 今回のコラムは、書籍「これからの発達障害者「雇用」: 専門キャリアカウンセラーが教える」からこぼれた、貴重なお話となります。ぜひ、本編もお楽しみください!

関連記事

  1. 発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.4 「失敗…

  2. 発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.6 「『就…

  3. 発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.17 「忖…

  4. 発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.11 「婚…

  5. 発達障がい者専門キャリアカウンセラーの今、想うこと Vol.1 「法定…

  6. 発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.14 「フ…

  7. 発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.10 「女…

  8. 発達障がい者専門キャリアカウンセラー

    発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.3 「ゆっ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。