発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.14 「フラッシュバック」

発達障がいの友だちと交わる中で、「フラッシュバック」について語られる機会は、かなり多いような気がします。

ただし、どうもよく聞いていると、一般的に認識されているフラッシュバックとは少し様子が違うようです。

 

例えば、サスペンス・スリラー・ホラー映画などで用いられるフラッシュバックと言えば、過去の外傷体験に関連した記憶が、何かのきっかけで突如鮮明に浮かび上がるシーンが、映画に劇的な効果をもたらすのですが、当事者の言う「フラッシュバック」は、感情的な引き金がなくても起こることがあるようです。

また、内容的にも、具体的で鮮明なものから、日時の特定できない “あの頃” の “いろいろな” 出来事の細部の欠けた包括的な思い出まで、非常に大きな差がある。 しかも、同じ体験が繰り返される(記憶反響)とは限らないとなると、フラッシュバックの経験がないと、なかなか状況把握が難しいものです。

 

そこで、精神科医でもない私は、取りあえず、次のような仮説を立ててみました。

発達障がい者は様々な情報を定型発達者よりも細かく大量に拾い上げてしまう(この中には、なんらかの「事件」で遭遇した圧倒的な体験も含まれる)

情報を一時に処理できないので取りあえず脳の中に溜めておく(心の許容量を超えたものは、なるべく思い出さなくていいように脳にしまいこむ) = そのときの感情や感覚をともなったまま冷凍保存されている

トリガー(引き金となる刺激)を感じると、「今」「ここで」起きているように再現されてしまう = 色があせない、鮮明なまま

感情や感覚が生々しく蘇るので大変苦しい

 

ましてや、発達障がいの方は

① 定型発達者のように、嫌なことを突然思い出しても、その嫌な考えを振り切って、仕事なり日常生活を続行することができない
② 今、目の前にある状況や過去の追憶に捉われていると、異なった状況を考えることができない
③ 自伝的な過去について、定型発達者の場合、ある日の授業の内容は忘れても学芸会のことは覚えていたりするが、発達障害者は同一性保持や関心の偏りのために、たまたま思い出した記憶だけが、繰り返し思い出されては一層強化されるので、社会的な重要度による頻度の効果が働きにくい

となると、フラッシュバックに影響されやすい下地が揃っているとも言えます。

 

さて、長くなりました。

この続き(フラッシュバックに有効な心理療法である、EMDRやホリグラフィトークについて)は、また機会を改めて(もっと勉強してから)お話することにしますので、乞うご期待ください。

 

 

※ 今回のコラムは、書籍「これからの発達障害者「雇用」: 専門キャリアカウンセラーが教える」からこぼれた、貴重なお話となります。ぜひ、本編もお楽しみください!

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