発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.8 「怒っても叱ってもダメ」

「怒る」と「叱る」の違いは何かと引用されるように、「怒る」と言う行動がただ感情をぶつけることに対して、「叱る」と言う行動は相手に気付きを与えることを目的にすると言われています。

 

 

組織の中の管理者が部下にとるべき行動は「怒る」ことではなく「叱る」ことだそうです。

 

 

整理すると、次のようになります。

「怒る」・・・感情的に、自分のために、過去に焦点をあて、勢いで、自分の言いたいように、感情に任せて
「叱る」・・・理性的に、相手のために、未来を見据えて、愛と勇気で、相手に伝わるように、試行錯誤で

 

ところで、発達障害の人は総じて、怒られながら生きています

 

どこで何をしていても、誰かを不快にしたり迷惑をかけたりする。

特に不注意や非定型的言動は、そのトリガーになりやすいのです。

 

 

では、「叱る」のはどうでしょうか?

 

先の説明から判断すると、教育力があるのが「叱る」であるとも言えそうですが…

ハッキリ言って、発達障害のある人にとっては、どちらも同じようなものです。

 

どれだけ時間をかけて熱心に真剣に丁寧に叱っても、それが発達障害の改善に繋がることは決してありません

 

なぜなら、発達障害者は「自分の感覚」以上に「記憶」を頼って生きているからです。

 

 

しかし、この社会は、「考えて行動すること」が求められます。

本人は大真面目にいろいろ考えているつもりなのですが、その実態は、ミスをしないで叱られなかったという、まぐれの結果を次も再現することに全力を注いでいるに過ぎないのです。

 

自分の意思や判断で叱られる時間を消すことはできないので、叱られることを受け入れ、その時をやり過ごす。

一方で職場では、誰かが叱られていることで、その環境の健全性を一定量、向上させる効果が生じる。

 

だから、人が叱られない職場は存在しないのです。

 

 

それならば、どうすればいいのか?

 

「怒る」「叱る」前に、「怒られる」「叱られる」状況に至った経緯を話し合い、繰り返しが起らない仮説を立てる

 

その仮説を検証し、実効性が認められるならば、それをくり返し実行することで、「ストーリー」として記憶してしまう。

 

叱られた「記憶」を叱られない「ストーリー」で上書きしてしまえば、失敗した分の回復や取戻しに時間を使う必要もないので、精神の健全性が保てると考えます。

 

 

初めの頃は「誰にでもミスはあるよ」と言っていた上司や先輩、同僚の目が、次第にゴミを見る目に変わっていく。

そんな経験をした発達障害者は多いと思います。

 

愛をもってしても「叱る」行為では相手側に正義があるので、叱られる側はそれを察することが求められます。

 

 

済んだことはスルーして、新しいストーリーを描いた方が断然得策だと思います。

 

 

 

※ 今回のコラムは、書籍「これからの発達障害者「雇用」: 専門キャリアカウンセラーが教える」からこぼれた、貴重なお話となります。ぜひ、本編もお楽しみください!

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