発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.6 「『就労定着支援事業所』とは?」

平成30年4月1日に施行となる改正障害者総合支援法の中で新たに創設されるサービスに「就労定着支援」があります。

 

 

対象となるのは、就労移行支援などを利用した後に一般就労した人のうち、就労にともなう環境の変化等により生活面に課題が生じている人です。

 

たとえば、

・生活リズムが乱れる
・体調が不安定になる
・お金を浪費する

などの課題は、遅刻や欠勤の増加や職場の人間関係に影響を及ぼします。

 

とはいえ、雇用している企業や事業所では、きめ細やかな対応をすることが難しいので、「就労定着支援」を創設して、①本人との相談による課題把握 ②企業や医療機関、家族、その他の社会資源との連絡調整 ③必要な支援の提供 を専門に行います。

 

 

職場定着支援は、これまでも就労移行支援事業者に対して、利用者の職場定着を促進するため、障害者就業・生活支援センター等の関係機関と連携して、利用者が就職した日から6か月以上、職業生活における相談等の支援を継続することと規定されていました。

 

 

このたびの「就労定着支援」においては、サービスの利用期間を最大3年とし、「就労の生活面の課題に対して、就労の継続を図るために企業・自宅等の訪問や障害者の来所により必要な連絡調整や指導・助言等を行う」とあり、言い換えれば、「今までよりも、もっと手厚くやります」ということなのでしょう。

 

特に精神障害者の定着率は一年後には半減してしまいます。

発達障害者の場合はそこまで低くはありませんが、概ね70%前後、ストレス対処に問題がある点では、精神障害者に準じる数字が挙がっています。

 

その意味でも、定着支援の強化には賛成です。

 

 

但し、就労定着支援事業所の開設要件が、「過去3年間において平均1人以上、通常の事業所へ新たに障害者を雇用させている指定生活介護事業所、指定自立訓練(機能訓練)事業所、指定自立訓練(生活訓練)事業所、指定就労移行支援事業所、指定就労継続支援A型事業所又は就労継続支援B型事業所でなければならないものとする」では、事業所単位なので、大手の就労移行支援事業所や、特例子会社や障害者枠雇用に強い就労移行支援が実質的な主体になると考えられます。

 

これだと、クローズでの就労を望む方が多い、精神障害の方を多く扱う事業所には不利な条件です。

 

また、「サービス開始年後の職場定着率を8割以上にする」「障害報酬も職場定着の実績に応じて設定する」のは、数字が独り歩きし、「指定就労定着支援の提供期間中に雇用された事業所を離職し、再就職等を希望する利用者に対し、再就職のための支援等を行わなければならないものとする」が運用されない恐れがあります。

 

 

まだまだ制度的に未知の部分が多く、運用方法にも複数の論点があると思われますが、就労定着支援事業こそ、当事者本位で運用されて欲しいものです。

 

 

 

※ 今回のコラムは、書籍「これからの発達障害者「雇用」: 専門キャリアカウンセラーが教える」からこぼれた、貴重なお話となります。ぜひ、本編もお楽しみください!

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