発達障がい者専門キャリアカウンセラーからのこぼれ話 Vol.4 「失敗するチャンスがない?」

2016年4月1日に施行された「障害者差別解消法」は、大げさでなく障害者の環境を変え得る重要な法律です。

 

 

そこに定められた「差別禁止指針」とともに盛り込まれた「合理的配慮指針」では、

「産業の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置」

として、その指針が策定されていますが、その合理的配慮の背景にある国際的な考え方は ‟level the playing field” を踏襲したものです。

 

“level”は『水平をとる』ということ、 “playing field” は『勝負の土俵』のことで、世の中の制度や仕組みの多くは、健常者のことを考えて作られたものなので、障害のある人とない人とでは勝負の土俵があまりにも違いすぎる。

その違いを水平にし、障害のある人もない人も同じ土俵で勝負できるようにするためのアクションだと言えましょう。

 

その後半年が経過した2016年秋の実態としては、合理的配慮を「提供できている」と回答した企業が8割を超えた一方、法に基づく「合理的配慮指針」で雇用主に義務づけられた「相談窓口」の設置は4分の1程度と実施道半ばといったところです。

 

 

ところで、私が発達障害者への企業の合理的配慮といった点で、一番憂慮している事項は「失敗するチャンスがない」といったことです。

 

 

発達障害者はその凸凹が目に見えないのに加えて、一見健常者と見分けがつかないので、職務遂行において自動的に健常者社員と同じ土俵に乗せられてしまい、健常者社員同様の成果を期待されてしまいます。

 

しかしながら、ジョブ型雇用のシングルタスクが保障されていない中では、彼らの発達凸凹の凹の部分のみが目立ってしまって、そこを責められるので「失敗のチャンスがなくなる」という話になります。

「水平」は良いのですが、野球場の外野席で野球を観ている大人と子どもに同じ高さの踏み台を与えても、フェンスに遮られて、背の低い子どもにはそれでもプレイが見えないことがあります。

 

 

合理的配慮にあたっては、同じ土俵で勝負できるように、公平ではなく公正を図ることが肝要です。

 

 

 

※ 今回のコラムは、書籍「これからの発達障害者「雇用」: 専門キャリアカウンセラーが教える」からこぼれた、貴重なお話となります。ぜひ、本編もお楽しみください!

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